精密根管治療 Root

保険の根管治療の成功率
(再治療が必要になるかどうか)

日本における保険適用の根管治療は成功率が30~50%と低く、残念ながら50~70%の症例で虫歯が再発し、再治療が必要になることが明らかになっています。

なぜ保険治療の成功率は低いのか?

成功率が低い最大の要因は「滅菌不足」
虫歯の原因は細菌感染であり、再発の主な要因も同じく細菌感染です。つまり、保険治療の成功率が低い(=再発や再治療のリスクが高い)理由は、根管内の細菌を完全に除去しきれていないことにあります。
「根管治療=歯の神経を抜く治療」と簡単に言われることがありますが、実際には非常に繊細で高度な技術を要する治療です。適切な処置が行われなければ、歯の内部で細菌が再び繁殖し、再発のリスクが高まってしまいます。

成功率を上げるために必要なこと

再発の原因が細菌ということは、徹底的な滅菌が成功率向上の鍵となります。
成功率を高める3つのポイント
①治療中での細菌の侵入を防ぐ
②徹底した根管内の殺菌
③治療後での細菌の侵入を防ぐ

根管治療において再発の原因は細菌感染です。つまり、成功率を上げるには、治療の各段階で細菌の侵入・増殖を徹底的に防ぐことが不可欠です。

まず、治療中に開いた根管が唾液(=細菌)に晒されないよう適切な対策を講じます。次に、根管内の殺菌を可能な限り徹底し、細菌の生存を許しません。そして、治療後も細菌が侵入しないよう封鎖をしっかり行います。

これらの徹底した滅菌管理こそが、根管治療の成功率を大きく向上させるカギとなります。

自費と保険の根管治療の比較

保険 自費
1回の治療時間 20分 60~90分
治療までの回数 4~5回 1~3回
ラバーダム防湿 適宜 使用
CT撮影 適宜 あり
マイクロスコープの使用 適宜 あり
ニッケルチタンファイルの使用 適宜 あり
論文からみる成功率 50%以下がほとんど 96%以上

比較の詳細

1治療時間と通院回数

通常の根管治療では、1回につき約30分程度の治療を平均4~5回通院して行い、難しい場合だとそれ以上来院が必要になる場合があります。
精密根管治療の場合では、細かく治療を進めるため、1回の治療は約60分~90分と長く、通院回数は1~3回と比較的少なくなります。


2検査・診断

治療を行う前の検査で、歯の根っこの構造を把握し、スムーズで適切な治療ができるよう計画を立てます。
精密な根管治療の場合は3次元CTスキャン、通常の根管治療の場合であれば、2次元レントゲンを使用し撮影します。


3マイクロスコープの使用

歯科用大型顕微鏡であるマイクロスコープを使うと、歯の内部だけでなく、目視では見えないような根っこの奥深くまで、鮮明に見ることができます。
治療前の検査で得た情報を元に、歯の内部を探り、細かなヒビや破折の有無をチェックし、根尖病変の原因である神経の取り残しがないよう慎重に治療を進めて、トラブルの起こるリスクを最小限に抑えます。


4ニッケルチタンファイルの使用

ファイルとは、神経を除去する為に歯の根の中に入れて使用する道具です。
通常の根管治療で使用するステンレスファイルとは違い、精密根管治療で使用できるニッケルチタンファイルは、柔軟性があるため、入り組んだ内部であっても、ファイルの先端を隅々まで行き届かせることができます。
神経や細菌感染のある部分の取り残しを防ぎます。


5薬剤・セメント

歯の根を取り除いたあとの洗浄や、細菌の消毒のためには薬剤を使用します。
自費診療の場合、効率的に根管内の清掃ができるような薬剤や材料を、症例によって使い分けることが可能です。

自費精密根管治療のメリットとデメリット

自費精密根管治療のメリット

・治療の成功率が飛躍的に高まる

治療の質が明らかに違いますので、保険治療と比べて、成功率が飛躍的に高くなります。
保険治療での平均成功率は30%前後程度とされていますが、精密根管治療なら95%以上にまで高めることができます。


・歯の寿命を延ばすことができる

治療の成功率が高くなることで、歯の寿命も必然的に長くなります。


・根尖病巣のリスクを下げられる

不十分な根管治療では根の先端に病変が形成されるリスクが高まりますが、精密な根管治療であれば、このリスクを減らすことができます。


・蓄膿症を防げる

副鼻腔炎は鼻の病気と関連づけられることが多いですが、実はその原因の約30%は歯の根管病変に由来します。精密な根管治療を行うことで、根尖病変のリスクを減らし、副鼻腔炎のリスクを下げることができます。


・余計な歯科治療をしなくて済む

自分の歯を長く残すことができるので、インプラントやブリッジ、入れ歯などの歯を補う治療が不要になります。


・治療費の節約になる

自費の精密根管治療は、抜歯してインプラントを埋入するよりも安価です。


・ご自分の歯で噛める喜びが得られる

どんな高価な人工歯よりも、やはり天然歯かなう物はありません。

自費精密根管治療のデメリット

・被せ物も自費治療になる

混合診療の保険のルール上、自費の根管治療をした場合は、被せ物も自費になります。保険の被せ物にすることはできません。しかし、自費の被せ物の方が精度が高いので、より長持ちする理由の1つです。


・口を長く開ける必要がある

1回の治療にたっぷり時間をかけて丁寧に治療しますので、口を開けている時間が長くなります。平均60分から90分程度です。その分、来院回数をかなり減らすことができます。

費用

処置内容 まだ神経が
残っている歯
既に神経が
残っていない歯
前歯 55,000円 77,000円
小臼歯 77,000円 99,000円
大臼歯 99,000円 110,000円
破折ファイル
除去
33,000円