インプラント治療ができる人とできない人がいる?—知っておきたい適応条件と注意点
こんにちは。あづみのうえはらおとなこども歯科医院、院長の上原龍一です。
「インプラント治療を受けたいけど、自分はできるのだろうか?」そんな疑問をお持ちの方は少なくありません。実際、インプラント治療には「適応条件」があり、誰でも受けられるというわけではありません。
この記事では、「どんな人がインプラント治療に向いているのか」「どんな場合に治療が難しくなるのか」について、歯科医師の視点から詳しく解説いたします。
目次
そもそもインプラント治療とは?
インプラント治療は、歯を失った部分に人工の歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工の歯を取り付ける治療法です。見た目や噛み心地は天然歯に非常に近く、近年非常に注目されています。
しかし、インプラントは外科手術を伴う治療であり、顎の骨や全身状態に一定の条件が求められます。そのため、適応の可否は慎重な診査と診断が必要です。
インプラント治療が「できる人」とは?
インプラント治療ができるかどうかは、主に以下のような条件に左右されます。
① 顎の骨が十分にある人
インプラントは骨に埋め込むため、十分な骨の高さ・厚み・質が必要です。骨が足りない場合は、骨造成(GBR)などの処置が必要になります。
- 骨がしっかりしている
- 骨粗しょう症でない、もしくは軽度で薬剤の影響が少ない
② 歯周病のない、または治療が完了している人
歯周病はインプラントにとっても大敵です。歯周病があると、インプラント周囲炎と呼ばれる炎症を起こすリスクが高くなります。
- 口腔内が清潔に保たれている
- 歯周病の管理ができている
③ 全身の健康状態が良好な人
高血圧、糖尿病、心臓病などの持病がある場合でも、病状がコントロールされていれば治療可能です。逆に、重篤な全身疾患がある場合はリスクが高くなります。
- 糖尿病が良好に管理されている(HbA1cが安定)
- 血液凝固障害や重度の免疫抑制がない
④ タバコを吸わない人(または禁煙できる人)
喫煙はインプラントの成功率を大きく下げる要因の一つです。血流が悪くなるため、骨との結合が妨げられたり、感染リスクが高くなったりします。
- 非喫煙者、または治療中は禁煙できる方
⑤ 定期的な通院が可能な人
インプラントは「入れたら終わり」ではなく、長期的なメンテナンスが必須です。定期的なクリーニングやチェックを怠ると、せっかくのインプラントが長持ちしません。
- 定期検診に通う意思がある
- 丁寧なセルフケアができる
インプラント治療が「できない(難しい)人」とは?
一方、以下のような方はインプラント治療が難しい場合があります。
① 顎の骨が極端に少ない人
骨量が極端に不足していると、インプラントを安定して支えることができません。ただし、近年は骨造成(GBR)、サイナスリフトといった再生治療により対応可能なケースも増えています。
② コントロールされていない全身疾患のある人
糖尿病が重度で血糖値のコントロールが不良な場合や、心疾患・腎疾患などで医師から外科的処置を制限されている場合は治療が困難です。
また、ビスフォスフォネート系薬剤(骨粗しょう症治療薬)を長期間服用している方も、顎骨壊死のリスクがあるため注意が必要です。
③ 妊娠中の方
妊娠中は外科手術やレントゲン撮影が避けられるべきであるため、出産後の体調が安定してからの治療が望ましいです。
④ 成長期の子ども
顎の骨が成長している途中の年齢では、インプラントを固定してしまうと骨の成長に悪影響を及ぼす可能性があるため、基本的には適応外です。
「難しい=不可能」ではない
ここまでご紹介したように、インプラント治療には適応条件がありますが、「難しい=できない」というわけではありません。
たとえば…
- 骨が足りない → 骨造成手術で対応可能
- 糖尿病がある → 医科との連携でコントロール下なら治療可能
- 喫煙 → 禁煙指導を行ったうえで慎重に進行
当院では、CT画像や精密検査、全身状態の問診を丁寧に行い、その方に最も安全な治療方法をご提案しています。必要に応じて、他科(内科・整形外科など)と連携を取りながら治療を進めますので、ご安心ください。
最後に
インプラント治療は、非常に優れた補綴治療法ですが、「誰にでも同じように行える万能な治療」ではありません。
患者様お一人おひとりの全身状態、口腔内の環境、生活習慣などを丁寧に把握し、その方にとって最善の選択肢を一緒に考えることが大切です。
「自分はインプラントができるのかな?」「他院で難しいと言われたけど諦めたくない」そんな方も、まずはお気軽にご相談ください。
私たちは、あなたの健康と笑顔を守る治療を、全力でサポートいたします。