口腔習癖が歯並びに及ぼす影響について
こんにちは。あづみのうえはらおとなこども歯科医院の院長、上原龍一です。本日は、「口腔習癖(こうくうしゅうへき)」が歯並びにどのような影響を及ぼすのかについてお話しします。
目次
口腔習癖とは
口腔習癖とは、口やその周りの習慣的な癖のことを指し、特に子どもに多く見られます。代表的なものには、指しゃぶり、舌の突き出し癖、唇を噛む癖、爪を噛む癖、口呼吸などがあります。これらの習癖は一見無害に思えるかもしれませんが、長期間続けることで歯並びや咬合(噛み合わせ)に大きな影響を与えることがあります。
1. 指しゃぶり
指しゃぶりは、特に幼児期に見られる一般的な口腔習癖です。通常、2歳から4歳頃には自然に収まることが多いですが、5歳を過ぎても続く場合、歯や顎の発達に悪影響を及ぼすことがあります。
歯並びへの影響
指しゃぶりを長期間続けると、上の前歯が前方に押し出され、下の前歯は後方に引き込まれる「開咬(かいこう)」や「出っ歯(上顎前突)」の原因となります。また、指をしゃぶる力が顎にかかり続けると、上下の顎の成長バランスが崩れ、顔の形や顎のラインにも影響を与える可能性があります。
2. 舌の突き出し癖(舌癖)
舌の突き出し癖とは、食べ物を飲み込む際や話す際に舌を前に押し出す動作を無意識に繰り返す習癖です。これは、赤ちゃんが母乳やミルクを飲む際の反射動作が残っていることが原因とされていますが、成長するにつれてこの癖が残ると、歯並びに問題を引き起こすことがあります。
歯並びへの影響
舌の突き出し癖は、前歯が正常な位置に生えそろわない原因となることがあります。特に、前歯が前方に押し出されることで「開咬」や「上顎前突」を引き起こすことがあり、これによって見た目の問題や発音の不具合も生じることがあります。
3. 唇を噛む癖
唇を噛む癖も、子どもだけでなく大人にも見られることがあります。この癖は、緊張やストレス、無意識の行動として現れることが多いです。長期間にわたり唇を噛む習慣が続くと、歯や顎に悪影響を与えることがあります。
歯並びへの影響
唇を噛む癖が続くと、特に前歯に圧力がかかり、歯並びが乱れる原因となります。上の前歯が内側に引っ張られ、下の前歯が外側に押し出されることで、前歯が正しく噛み合わなくなることがあります。このような歯列不正は、噛み合わせに問題を引き起こし、将来的に顎関節症のリスクを高めることもあります。
4. 爪を噛む癖
爪を噛む癖は、緊張やストレス、退屈を感じる際に行われることが多い習癖です。この癖も、歯並びに影響を与えることがあります。
歯並びへの影響
爪を噛むことで前歯に不自然な力が加わり、歯が少しずつ動いて歯並びが乱れることがあります。特に、下の前歯が押し出されて「開咬」や「下顎前突」の原因となることがあります。また、爪を噛む際に歯に強い力をかけるため、歯の表面が削れたり、歯の割れやひび割れを引き起こすリスクも高まります。
5. 口呼吸
口呼吸は、口を開けて呼吸する習慣で、鼻詰まりやアレルギーなどが原因となることが多いです。しかし、口呼吸が長期間続くと、口内や顎の発達に悪影響を与える可能性があります。
歯並びへの影響
口呼吸を続けると、舌が上顎に当たらず、歯や顎に対して正しい圧力がかかりません。これにより、上顎が十分に発達せず、狭くなった顎の中に歯がきちんと並ばない「叢生(そうせい)」や「開咬」の原因となることがあります。また、口を開けた状態が続くと、顔の筋肉や顎関節にも負担がかかり、顔の形や表情に影響を与えることもあります。
6. 口腔習癖を改善するために
口腔習癖を改善するためには、早期に気づくことが重要です。以下の方法を試してみることをお勧めします。
- 子どもに習慣を意識させる
- リラックスする環境を整える
- 口腔習癖を改善するためのアクティビティや運動を行う
- 歯科医に相談し、必要に応じて矯正治療を検討する
まとめ
口腔習癖は一見無害に思えるかもしれませんが、長期間続くことで歯並びや顎の発達に悪影響を及ぼすことがあります。早期に気づき、改善に向けた取り組みを行うことで、将来の歯並びを守ることができます。気になることがあれば、ぜひ専門の歯科医に相談してください。